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就業規則がなかったら

  • Writer: sano4864
    sano4864
  • Jun 9, 2024
  • 5 min read

Updated: Jun 17, 2024

一応、従業員数10名未満の場合は、就業規則を作成しなくても、違法とはならないことにはなっています。

でも、就業規則がないということは、規範がないということになりますから、違法状態が生じたとしても、懲戒できず、如何ともしがたい、ということになります。

とにかく、色々な従業員を一つにまとめるのに、苦労することでしょう。

 

したがって、従業員が一人でもいれば、就業規則は必要となるでしょう。

 

就業規則を作成するとなると、なかなか大変です。

一度作ってしまうと、不利益変更の禁止から、簡単には改訂できません

さて、項目を分類して、もし、就業規則に定めがなかった場合、どうなるかを掲げておきます。

絶対的必要記載事項であり、強行法規である場合。

絶対的必要記載事項であり、任意法規である場合。

相対的必要記載事項であり、強行法規である場合。

相対的必要記載事項であり、任意法規である場合。

任意的記載事項であり強行法規である場合。

任意的記載事項であり、任意法規である場合。

 

絶対的必要記載事項」とは、労基法によって、その内容を就業規則に必ず記載しなければならないとされている事項をいいます。

相対的必要記載事項」とは、会社で制度を設けて実施している場合には、その内容を就業規則に記載しなければならないとされている事項をいいます。

任意的記載事項」とは、労基法では記載する内容について特に定められておらず、制度を設けるかどうかはもちろん、制度の内容を就業規則に記載するかどうかも会社の自由(任意)とされています。

なお、これらを就業規則に記載しなかった場合は、普通であれば懲戒規定の適用を考えるところ、これができません。

 

強行規定」とは、法律に条文があり、これを守らないと、違法とさせるものです。

任意規定」とは、法律に条文があるものの、これを守らなくとも、違法とはされないものです。

 

それでは、以下、見ていきます。

 

絶対的必要記載事項であり、強行法規である場合。

まず、就業規則にないわけですから、強制できません。

ましてや、懲戒もできません。

さらに、会社が違法とされます。

Ø  例えば、年次有給休暇の年休数です。

もし、規定がなければ、労基法違反となり、労基法に定められた最低年休数が確保されます。(*1)

Ø  あと、時間外・休出があれば、労基法違反となります。(*2)

Ø  ただし、懲戒が必要な場合も、決して適用できません

Ø  したがって、全ての従業員に強制し、違反した場合は懲戒の対象とする、といった場合は、規定が必要となります。

*1 従業員の全てが、1週間あたり1日未満しか所定労働日がない場合は、直ちに労基法違反とはなりません。

*2 従業員がすべて管理監督者であるような場合は除きます。

時間外・休出があっても、労基法は適用除外されますから、残業・休出の割増賃金は生じません。

 

絶対的必要記載事項であり、任意法規である場合。

まず、就業規則にないわけですから、強制できません。

ましてや、懲戒もできません。

Ø  例えば、年休の5日付与義務ですね。

もし、規定がなくても、直ちに労基法違反となるわけではないですね。

従業員の全てが、自主的に、年5日以上年休取得をしている場合は、適用事例がないわけですから、違法とはなりません。

全ての従業員が、年休取得率100%という会社もありますからね。

Ø  なお、懲戒が必要な場合も、決して適用できません。

Ø  ただし、多くの会社では、年休取得率が著しく低い従業員がいますから、結果的に労基法違反となるでしょうね。

Ø  また、懲戒の適用もできません

Ø  したがって、全ての従業員に強制し、違反した場合は懲戒の対象とする、といった場合は、規定が必要となります。

 

相対的必要記載事項であり、強行法規である場合。

Ø  存在しないかもしれません。

 

相対的必要記載事項であり、任意法規である場合。

まず、就業規則にないわけですから、強制できません。

ましてや、懲戒もできません。

Ø  例えば、「業務に用いる筆記用具を購入した場合は、会社に請求すれば、実費を支給する。」というものですが、会社にそうした規則がない以上、強制はできず、なおさら懲戒もできません(*1)。

Ø  したがって、懲戒の必要性があれば、全ての従業員に強制し、違反した場合は懲戒の対象とする、といった場合は、規定が必要となります。

*1 普通解雇は可能です。

 

任意的記載事項であり、強行法規である場合。

まず、就業規則にないわけですから、強制できません。

ましてや、懲戒もできません。

Ø  例えば、「人のものは盗んではいけない。」というものですが、内容的には当たり前ですが、会社にそうした規則がない以上、強制はできず、なおさら懲戒もできません(*1)。

Ø  したがって、全ての従業員に強制し、違反した場合は懲戒の対象とする、といった場合は、規定が必要となります。

*1 普通解雇は可能です。

 

任意的必要記載事項であり、任意法規である場合。

まず、就業規則にないわけですから、強制できません。

ましてや、懲戒もできません。

Ø  例えば、「業務に用いる筆記用具でも、会社で購入したものに限定する。」というものですが、会社にそうした規則がない以上、強制はできず、なおさら懲戒もできません(*1)。

Ø  したがって、全ての従業員に強制し、違反した場合は懲戒の対象とする、といった場合は、規定が必要となります。

*1 普通解雇は可能です。

 

 
 
 

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