答え)所定労働時間の伸長 問い)定期昇給制度の廃止
- sano4864
- Jun 21, 2024
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Updated: Jun 22, 2024
前回の問いへの回答です。
就業規則には、1日の労働時間は7時間以内、と書いてあります。
労基法では、8時間まで働かせることができますので、これを理由に、8時間に変更しました。
この場合は、どうなりますか?
①1日の労働時間は、8時間となります。
➁7時間のままです。
さて、正解はどちらでしょうか?
という問題でした。
もし、今まで1日7時間労働だったのが、8時間労働となる。
急にそういわれても、困ってしまいますよね?
ですので、次のとおり定めがあり、7時間のままとなります。
まず、労基法1条(労働条件の原則)2項では、
「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」
とされています。
ですので、労基法を根拠に、7時間労働を8時間労働にすることはできない、ということになります。
しかしながら、「この基準を理由として」とありますから、例えば、1日7時間では仕事が回らない。なので、8時間にする、というような場合は、OKということになります。
また、労契法9条(就業規則による労働契約の内容の変更)では、
「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。」
とされています。
したがって、原則として、不利益変更は禁止されています。
ただし、そうしますと、会社としても困ってしまいますので、
労契法10条
「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。」
とされています。
したがって、要件を満たせば、不利益変更も可能です。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
それでは、次の問題はどうでしょうか?
これまで、会社には、就業規則の定めにより、定期昇給制度がありました。
ところが、毎年赤字続きで、来年から廃止しようと考えています。
さて、これはどうなりますか?
①不利益変更となるので、合理性が求められ、おいそれとは廃止できません。
ですので、定期昇給の廃止は、諦めます。
➁代償措置や経過措置を講じる等して、合理性を見出し、不利益変更に繋げます。
さて、正解はどちらでしょうか?
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